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今週のひとことVol.160 「マグネシウム文明論」

「マグネシウム文明論」の著者・矢部孝東工大教授に会ってお話を伺いました。
著書の副題が、「石油に代わる新エネルギー資源」とあるように、石油の代替としてマグネシウムに着目し、今まさに実用化への緒に就いたところだということでした。

マグネシウムというと、私はプリントごっこのフラッシュを思い浮かべます。カーボンをシートに焼き付けるために使用するランプで、「パシッ」という音と眩い閃光のあとは、高温のためランプにひび割れができます。マグネシウムが、それほど瞬時に熱を発する力があることを、実用品を通して知っていた私にとって、「マグネシウムが新エネルギーになる」という説は、理解しやすいものでした。

しかし、私は同時にマグネシウムが非常に高価な鉱物であることも、おなじくこの「プリントゴッコ」を通して知っています。確か2回分の製版に使用するランプ4個入りで、1000円近くしていたはずです。

その高価なマグネシウムを矢部教授は、海水から取り出すことに着眼しました。実は、マグネシウムは海水中にたくさん含まれており、海水1kgあたり1.29g、総量としては1800兆トンにものぼります。つまり、このマグネシウムを海水から取り出して、石油の炭化水素の替わりにそのまま火力発電所で燃やせばいいわけです。

問題は、マグネシウムをどうやって海水から取り出し製錬するか、ということですが、そこで、着想されたのが、太陽光エネルギーの利用です。矢部教授は、太陽光からレーザーを作る「太陽光励起レーザー」という技術を開発しました。同じ波長の光をごく小さな点に集中させた2万℃という超高温のレーザーで、酸素とマグネシウムの結合を解き、純粋なマグネシウム取り出す技術です。

その前の段階として、海水を蒸発させて塩化マグネシウムにする装置は、マグネシウムの他に生みだすものがあります。それは、淡水です。そうです。水がないところで海水を淡水化できてしまうのです。この海水淡水化装置は、一方で淡水、もう一方ではマグネシウムを得るというまさに一石二鳥の装置なのです。

そして、その塩化マグネシウムから太陽光励起レーザーで単体化したマグネシウムは、発電所(今の火力発電所でいい)燃料や自動車用の金属燃料電池として使用します。さらに、使用後にできた酸化マグネシウムはまたレーザーを使って金属マグネシウムに戻すという仕組みです。
必要なエネルギー源は太陽光だけ、化石燃料を使わないので温室効果ガスも出さない、資源が消費されない社会。これが矢部教授が提唱する「マグネシウム循環社会」であり、これにより世界は、石油文明からマグネシウム文明へと大きな一歩を踏み出すということです。

枯渇しないエネルギー源で、CO2も全くださない。この夢のようなエネルギーの実用化はもうすぐそこまで来ており、国内外から注目を集めています。

今後の実用化に大いに期待したいと思います。

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