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今週のひとこと Vol.91 「氷山の一角」

姉歯建築設計事務所による構造計画書偽造問題は、日本中を揺るがす大騒動に発展しました。 姉歯建築士がデータを改ざんしたと供述している21棟はもとより、過去に設計に関与した全ての物件(22都府県で計194物件)も安全とは言えないことから、構造審査が火急に進められています。やすらぎやくつろぎの場である住まいの安全が、文字どおり土台から揺さぶられるあってはならない事件で、住民の不安や憤り、心痛は、察するに余りあるものがあります。 事件発覚後、姉歯建築士がまったくかかわっていない建物にまで、不安の波紋が広がっています。各地の建築士団体には、マンションの住民や集合住宅の管理組合などからの相談が殺到。「うちの建物は大丈夫か調べてほしい」と、構造計算書の再計算の依頼が日に何件も持ち込まれているということです。 姉歯建築士の不正な行為は、確認審査機関が機能していないことの裏づけとなり、また、厳しいコストダウンを要求する業界の体質も浮き彫りにする結果になりました。構造設計を行う他の建築士も、同じような圧力の中で仕事をしていることは、容易に想像できることで、魔がさした人間が、彼ひとりとは思えないと考えるのも当然です。今後、新たな不正が発覚するのも時間の問題だと言う人もいます。 こんなとき「氷山の一角」という言葉がよく使われます。 ご承知の通り、海の上に姿を現しているのは氷山の一部で、何倍もの大きな氷の山が海中に潜っていることから、露呈した事件の裏に同じような事例が多数潜んでいることを現す比喩に使われる言葉です。 実質的な審査は民間に依託されていたとしても、監督機関である行政に全く責任がないとは言えないでしょう。内容はどうあれ書類が揃っていれば、なんでも通過させてしまう、確認審査機関のそんな体質が、見えかくれしているような気がします。 今回の事件を契機に、建設関係のみならず、公(委託会社も含め)のチェックや審査のあり方が、厳しく再検討されることを願ってやみません。
<今週のひとことVol.91 2005.11.25>

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