折本ひとみの活動報告折本ひとみの活動報告

今週のひとこと Vol.146 「加速する”時”、蘇る”時”」

「○○ちゃんでしょ。」「●●くんだよね。」
あちこちで上がる歓喜の声。
故郷福山で開かれた小中学校時代の同窓会。
36年ぶりの再会に会場がわいています。

こんなに長い歳月が経っているにもかかわらず、○○ちゃんがセーラー服を着たあの姿に、●●くんが部活をしているあの雄姿に、そして国語の先生が教壇に立たれて板書される姿に、音楽の先生が指揮棒を手にされているあのやさしい姿に、瞬時に戻ってしまいました。

あっという間に過ぎた36年。
時間の経過が嘘のように感じます。

くしくもこの同窓会の日の新聞に、
「人が年をとると時間が経過するのが速く感じられるのはなぜか」、といったコラムをみつけました。

その答えは、「ジャネの法則」にありました。
これは、フランスの哲学者・ポール・ジャネが発案した、年月の縮小をもたらす加速度の一形態で、「心理的な時間の長さは、年齢の逆数に比例する」という説です。
たとえば10歳の時の1年間は、30歳なら4ヵ月に、60歳なら2か月に感じるそうで、年齢が2倍になれば時間の長さは半分に、年齢が3倍になれば時間の長さは3分の1に短くなるというもの。不思議なことにこの加速度は、1時間や1日の長さに作用するのではなく、1年という長い時間にたいして働いているということです。
年々時間が経つのが本当に速くなると感じていたのは気のせいではなくて、ちゃんと法則としてあったのです。

ちなみに、平均70歳の被験者に、記憶に強く残っているエピソードを尋ねたところ、15歳から20歳の時期の思い出が最も多かったということです。通常、記憶は発生後から時間がたつほど薄れるが、条件によっては時間がたった方が記憶が鮮明で思い出しやすくなる現象が起きるのだそうで、これを「レミニセンス効果」と呼ぶそうです。同窓会などでついこの前のように記憶が鮮明に蘇るのは、この効果だということです。

となると、時の速さはこれから先もっともっと加速の一途をたどる訳か、と思っていたら、なんとそれに抗う術がある、とも。
「たとえばワクワクする体験」のようなもので生活に刺激を与えること。そうすることによって、自分を取り巻く世界に新しい世界の風を吹き込むのが効果的なのだそうです。要するに、時間が経過した後でも、鮮やかに蘇る記憶をたくさん作ることが、心理的な時間の長さを維持することにつながるようです。

そういう意味で、今回の同窓会で故郷福山まで出かけたことは、まさにワクワクする体験。良い刺激になりました。

「還暦になったらまた会おう!」と固い約束をして、会場を後にした瞬間から、36年ぶりのこの同窓会は、新たな思い出となり、きっと還暦の再会時に、鮮やかに蘇ることでしょう。

加速する時の流れの中に、こうした「蘇る”時”」を作ることは、急流の中に障害物となる岩を置くようなものなのかもしれません。自分を取り巻く世界に甘んじることなく、新しい風を取り入れて、時の加速に挑戦したいと思います。

還暦の同窓会が、あっという間に来てしまわないように…。



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