折本ひとみの活動報告折本ひとみの活動報告

今週のひとこと Vol.142 「過」

京葉線東京駅の地下から地上に続く長いエスカレーターの手すりに隙間なく貼られたステッカ-。「手すりにおつかまりください」の注意と「抗菌」マークの組み合わせが、全てのエスカレーターの両端に上から下まで延々と貼られている光景に異様さを感じずにはいられませんでした。

ふと見回せば「段差に注意」、「頭上に注意」、「床が滑ります」など、危険を警告するものから、「乗り降りの際は押さないでください」、「お年寄りや体の不自由な方に席をゆずりましょう」、「携帯電話の通話はお控えください」など、マナーを呼び掛けるもの、はたまた「通路に座らないでください」、「寝泊まり禁止」など、言わずもがなの注意書きなどもあり、私たちの周囲はそんな張り紙でいっぱいであることに気付かされます。

氾濫する注意や警告を見まいと目をとじれば、今度はアナウンスで「○○にご注意ください」、「○○はやめましょう」などといちいち教えてくれる親切さ。
この「注意・警告・ご案内文化」は、日本特有のものだと聞いたことがあります。有益な情報は大歓迎ですが、昨今、あまりに度が過ぎているように思えます。
「それだけマナーが悪くなった」と嘆くべきなのか、それとも訴訟社会の中、リスク管理のために行き過ぎとも思える警告をしなければならないのか…。いずれにしても世知辛い世の中を象徴しているような感があります。
保護が行き過ぎて「過保護」。前者は有益なものですが、後者は時に悪影響を及ぼします。自分で注意したり、考えたり、予測したりする力を奪ってしまうのです。「書いてないからいいだろう」、「知らなかったから仕方ない」は、過保護社会の当たり前の言い訳になってきています。
また、これだけ注意・警告が氾濫すると、それに埋没して本当に気をつけなければならないことをやり過ごしてしまう可能性もあります。
そんな時には「張り紙の見逃しにご注意ください」と新たな張り紙が貼られるのでしょうか。
笑い話のような「過保護社会」。そこからの脱却は、現代社会の大きなテーマのひとつだと思います。

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